「人間関係の悩みは全て対人関係の悩みである」

この言葉は、ウィーンの心理学者アルフレッド・アドラーが言った有名な言葉です。

たしかに、仕事をしたり生きていく上では他者と関わらなくてはいけません。
生きていく以上、人間関係の悩みはつきものと言えるでしょう。

アドラーは、フロイト・ユングに並ぶ心理学者の三大巨匠です。
世界各国で翻訳された書籍『嫌われる勇気』により、アドラー心理学は世界に広がり、日本でもよく耳にしますよね。

フロイトとユングが「心とはこういうものである」という分析を中心としているのに対し、アドラーは「幸せになるための考え方」を記しているように思います。

今回は、そんなアドラーが提唱した「課題の分離」について紹介していきます。

アドラー曰く、課題の分離を理解すると対人関係の悩みを一気に解決できるとのことなので、他者との関わり合いは避けては通れないビジネスの場で、是非活用してみてください。

1.課題の分離とは

課題の分離とは、自分の課題と他者の課題を分けることです。

アドラー曰く、「あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと(あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること)によって引き起こされる」とのことです。

要は、自分の課題に他者を踏み込ませてはいけないということです。

何故なら他者を踏み込ませることは、対人関係を悪化させるからです。

少し冷たい言い方に思えるかもしれませんが、他人を気にかけて声を掛けたり、自分の行動を変える必要はありません。
勝手に他人の課題を背負い、踏み込むことで、双方がストレスを感じてしまうのです。

これだけではよく分からないと思いますので、いくつかのパターンを挙げながら解説します。

2.課題の分離で解決する職場ストレスの事例

◆上司が自分を評価してくれないことに不満(自分が部下の場合)

数字として残る成績だけみて評価されてしまったり、
逆に数字がでない仕事をして自分が評価されなかったり、
自分が評価されるためだけに動き、面倒くさいことは他人に任せてしまうようなずる賢い同僚だけを評価する。
その上誰よりもフォローに回っている自分のことは一切評価してくれない上司…

すごく腹が立ちますよね。非常にモチベーションが下がると思います。
「こんな上司嫌だ、仕事辞めたい」と思ってしまうかもしれません。

ですが、それは課題の分離を使うことによって考え方を変えられます。

その考え方というのは、
あなた自身が、課題を達成していることを自覚し、自分を自分で認める。
また、その課題に何故取り組んでいるのかその「目的」を再度考えるということです。

アドラーは「ほめてもらうことが目的になってしまうと、結局は他者の価値観に合わせた生き方を選ぶことになる」と言っています。
上司が自分やずるい同僚をどう評価するか、それは上司の課題です。
自分の課題ではありません。
自分は自分に任せられた仕事をしっかりクリアしていることが大事です。

昇進が目的なのであれば、まずは任せられている課題に真摯にとりくみましょう。
同僚のずるい部分がばれて評価されなくなることもあるでしょうし、上司が変わることもあるかもしれません。
もし転職することになっても、前の職場で頑張って仕事に取り組み身についた能力は絶対に役に立ちます。


◆言うことを聞かない部下に不満(自分が上司の場合)

仕事を任せた部下が言うことを聞かずさぼってしまったり、
能力があまりに低くどんなにレベルをあわせて説明したとしてもミスをしてしまったり、任せられる仕事が少ないなど…

上司の立場になると、イライラを感じてしまうこともあると思います。

この問題も課題の分離を活用しましょう。

あなたの課題は何でしょうか?
部下に仕事を完璧に行わせることが課題ではありません。

あなたの課題は「部下が仕事をできるように、やり方を説明したり、誘導する」ことです。
仕事をさぼるのを改めることや仕事をするためのスキルをみにつけるのは部下の課題です。

時には怒るといったパフォーマンスも必要なのかもしれませんが、その課題に取り込まない部下にイライラする必要はありません。

3.まとめ

今回は、ビジネスにおける人間関係に使える、アドラー心理学の「課題の分離」について紹介しました。
すべての場で活用しろというものではなく、ストレスを感じている時に活用すると、気持ちが軽くなりますので、是非思い出してみてください。


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